真に幸せになるための法華経 比喩品第三 ①
妙法蓮華経 比喩品第三 前回は開三顕一・あるのはただ一仏乗・五濁の悪世でした。
今回は比喩品第三に入ります。
方便品で唯一、舎利弗がのみが教えを理解し、この比喩品でいよいよ舎利弗が受記されます。舎利弗が誰でも成仏できるという教えを聞いて大感激し一大決意をします。今は声聞の身だが菩薩を教化するという決意です。
そこで釈尊が前世で舎利弗を導いたことをい告白されます。しかし、舎利弗がこの世ですっかり其のことを忘れて完全な涅槃を得たと思こんでいた為に、そこで、「本来の
願い」を思い起こさせる為に舎利弗を始め、多くの声聞の皆さんにこの法華経を説くのです。
そして舎利弗が遥か未来において多くの仏に仕え、菩薩行を完全に実践し、その結果「仏になる」ということを保証されます。
そして、舎利弗がいまだ法を理解していない者達の為に誤解と混乱をなくす為にさらに教えを懇願しました。
そこで三車火宅の譬えが説かれました。
三車火宅の譬え
ある町に大長者がいました。大長者は年をとっておりましたが、膨大な財産と500人程の使用人が住んでいました。屋敷は広大ですが門は狭く一つしかありません。家の柱は腐り、壁は崩れ、荒れ果てていました。家の中はカラス・ネズミ・狸・蛇・ムカデ・等が走り回っていました。ある時、長者が出かけたおりに突然、火事になりました。火が燃え盛っていて逃げまどっています。そこへ子供たちが遊びに夢中になり、家が燃えていることも気づかずにその家へ入って行ったのです。
長者は出先でそのことを知り大変驚きました。遊びに夢中になっている子供たちは焼かれそうになっていても気づかず逃げようともしない。とっさに一つの箱に入れて運び出そうと考えたが、門は狭くこぼれ落ちてしまう子がでるかもしれない。そこで長者は火の中に飛び込み、出るよう説得しても一向に出ようとしません。そこで欲しいおもちゃが3つ(羊の車・鹿の車・牛の車)があるから好きなものを取りなさいと言って、やっと救い出すことができました。
逃げ出した子供たちは父の姿を見ると早くおもちゃを下さいとせがみますが、父は子供たちの欲する三つの車では無く、美しい純白の牛が引く車を子供たちだけではなく、周りにいた使用人たちにも与えたのでした。そしてその車に乗って自由自在を楽しんだのでした。
長者=仏
狭い門=我を捨てる(貪欲を捨て自己中心を無くし皆平等である事)
子供=衆生
火=我・貪欲
家=娑婆世界・人生
羊車(ようしゃ)=声聞乗(いい教えを聞いていれば心が休まる)
鹿車(ろくしゃ)=縁覚乗(一人静かに縁によって悟りを得ようとする)
牛車(ごしゃ)=菩薩乗(人を幸せにすることによって生きがいや喜びを感じる)
長者が仏様、子供は私達衆生、燃え盛る火は娑婆世界です。今の世界そのものです。
そんな私たちを一人残らず救うにはどうしたら良いかと考えられ、方便でそれぞれが欲しがるおもちゃを出しました。子供たちはおもちゃをめがけて自らの足で火宅から出てきました。
狭き門という闇から一体感という方便を用いて救って下さった。
それだけではなく、闇(我・貪欲)から光の世界(調和・諸法実相)=(大白牛車)へ導いて下さった。仏様は子供たちが欲しがっていたもの(現世利益)だけではなく、本質的な救いの道を説かれたのです。
次回は信解品第四です。